こんにちは。kakukakuです。
日本国内には現在、ユネスコの世界遺産が14件あります。
その中でただ一つ、産業遺産が登録されているのをご存じですか?
島根県大田市にある「石見銀山遺跡とその文化的景観」です。
江戸時代、石見銀山で働いていた人が、
もしも現代にタイムスリップしてきたら、
自分の職場が世界遺産になったと知って驚くでしょうね。
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その石見銀山で最も大きい「大久保間歩(おおくぼまぶ)」を見学できる、
期間限定の一般公開ツアーに参加してきました。
間歩とは、鉱石を採掘するための坑道のこと。
石見銀山には確認されているものだけでも、
大小あわせて600以上の間歩があるそうです。
石見銀山世界遺産センターから出発するこのツアーは、
約2時間30分の山歩きコース。
砂利道やけっこう急な登山道を歩くので、
トレッキングのできる服装と靴が参加条件です。
標高310メートルに位置する大久保間歩の入口にさしかかると、
ヘルメット・長靴・懐中電灯を貸してもらえます。
にわか探検隊の結成に、なんだかワクワク。
これが、大久保間歩の入口です。
坑内は真っ暗で、温度は夏でも11℃前後。
高さは最大5メートルあるそうで、
江戸時代、初代奉行の大久保長安が馬に乗り、
槍を持ったまま入坑したという伝説も。
この奉行にちなんで、大久保間歩と名づけられたそうです。
懐中電灯を頼りに進む足もとには、今も湧き出す地下水。
壁面には、岩盤を削ったノミの跡と、
足場にした渡し木が当時のまま残っています。
大久保間歩を見学できる時間は一回30分。
暗闇にようやく慣れた目で外の世界に出ると、
一瞬、自然光が眩しいくらいでした。
この灯りは、間歩で使われていた「螺灯(らとう)」を再現したもの。
当時は、日本海でとれたサザエの殻にエゴマ油を入れ、
畳表に使うイグサを芯にしたそうです。
ツアーでは、ガイドの方がサザエの殻にLEDライトをセットして、
坑内で明るさを再現してくださいました。
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大航海時代、ヨーロッパで描かれた地図にも、
銀の王国と記されている石見銀山。
汗を流して現地を歩きながら聞く当時の話は、
人々の手仕事の痕跡や生活の匂いをリアルに伝えてくれる、
とても興味深いものでした。
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