こんにちは。kakukakuです。
世界遺産の島・宮島では、参拝者が行き交う参道や
観光客でにぎわう商店街を一歩入ると、
昔ながらの暮らしを垣間見ることができます。
先日、久しぶりに宮島を訪れたときも、
島の人々が「誓眞釣井(せいしんつるい)」と呼んでいる、
江戸時代の井戸があることを教えてもらいました。
フェリーが着く宮島桟橋の向かい側、
通り過ぎてしまいそうな細い路地の先に・・・
ありました、ありました、立派な井戸です。
地元の方が大切に守られているのでしょう。
掃除が行き届いていて、
水を汲むための道具もきれいに整えられています。
「誓眞釣井」の「誓眞」とは、
江戸時代(天明のころ)島で修行をしていた僧侶の名前。
水不足に苦しむ島民のために、
島内の10カ所に井戸を掘ったと伝えられています。
当時、この井戸の数メートル先は海岸だったそうですが、
井戸の水には塩分が含まれることもなく、
干ばつの時もこんこんとおいしい清水が湧き出たとか。
井戸のそばに立てられた由緒書きは、
「どうぞ霊水で喉をうるおし誓眞さんの高徳を偲んで下さい」
と結ばれています。
宮島名物の杓子を考案したのも、この誓眞さんです。
あの独特の形は、弁財天が持つ琵琶の形から着想したのだとか。
そのほかにも、石段を築いたり、石畳の道を整備するなど、
島民の暮らしを支えることに力を尽くした誓眞さんの功績は、
今も語り継がれています。
そうした歴史を知って宮島を訪れると、
島に流れる時間や風景が違って見えそうですね。